前回、血糖の乱れが「コゲ」と「サビ」を通じて
炎症の火種になる
という話をしました。
けど、大切な事は
「じゃあ、自分の血糖は乱れてるの?乱れてないの?」
ですよね。
実はこれ、健康診断の空腹時血糖やHbA1cだけでは、見つけにくいんです。
今日は、その血糖の乱れを覗くための、あまり知られていない数値の話をしていきます。
健康診断は、一番いいときを見ている
血糖の話をすると
「健康診断では正常でしたよ」と言われる事が本当に多いです。
空腹時血糖も、HbA1cも、基準値の中。
だから問題なし、と。
でも、ちょっと考えてみてください。
健康診断って、朝ごはんを抜いて行きます。
つまり、一日のうちで一番お腹が空いている
血糖が一番落ち着いているタイミングだけを見ているわけなんです。
いわば、一番いいコンディションのときの数値。
でも僕たちは、一日中ずっと空腹でいるわけじゃありません。
朝食べて、昼食べて、おやつをつまんで、夜も食べる。
前回もお話ししたように
血糖って「食べたあと」にどう動くかが大事なのに
そこがまったく写っていないんです。
HbA1cでも見えないもの
「でも、HbA1cは1〜2か月の血糖を見てるんでしょ? なら食後も含まれてるんじゃない?」
はい、今まではそう思われてきて
実際、日本の臨床でもそういう考え方をしています。
ただ、HbA1cは「ならした数字」なんです。
例えば、一日を通してずっと穏やかに過ごしている人と
食後にドカンと上がってそのあとガクンと下がる人。
この二人
血糖の動き方は全然違うのに
ならしてしまうと似たような数字になることがあります。
静かな湖面と
波がザブザブ立っている海。
写真で水面の「平均の高さ」だけ測ったら
同じに見えるかもしれない。
でも、そこで泳ぐ身体への負担は、まるで違いますよね。
HbA1cだけを見ていると
この「波が立っているかどうか」が
見えにくいんです。
そこで登場するのが「1,5-AG」
ここで出てくるのが
今日の主役、1,5-AGという数値です。
聞いたことがない人が、ほとんどだと思いますが
一般的な健康診断では、まず測りません。
それどころか
医療従事者でも知らない人が結構います。
でも、この数値って重要なことを教えてくれるんです。
1,5-AGは、血糖とよく似た構造をした物質で
普段は腎臓でちゃんと再吸収されて
血液の中に一定量キープされています。
ところが
血糖が高くなって、尿に糖が出るような場面になると
似た構造の1,5-AGも巻き添えを食って
一緒に尿へ出ていってしまう。
だから血液中の1,5-AGが減るんです。
つまり
空腹時血糖もHbA1cも正常なのに
1,5-AGだけが低い。
そういう場合は
「普段はいいけど、食後に血糖値スパイクが起こってるんじゃない?」
というサインに使えるんですね。
実は、日本生まれの指標
この1,5-AG
実は、日本で生まれた指標です。
1980年代に日本の研究者が
「糖尿病の人は、この1,5-AGが下がっている」
ということを見つけました。
そこから研究が進んで今では海外でも
アメリカのFDAが正式な検査として承認しています。
つまり
国際的にも「ちゃんと意味のある指標」だと認められている。
なのに。。。
日本でも、海外でも
日常の診療ではあまり使われていません。
なぜかというと
人によって基準の値に差があったり
「この値ならこう」という明確な線引きがまだ定まっていなかったり。
だから「補助的な参考値」という扱いにとどまっていて
HbA1cみたいにメジャーにはなりきれていない。
僕が「医療従事者でも知らない人がいる」と言ったのは
こういう背景があるからなんです。
糖質制限をしている人は、ちょっと注意
ここからは、僕が患者さんを見てきて感じている事なんですが
最近は、糖質制限をしている人が本当に増えました。
特に、海外のお金持ちやエリート層の間では
もはや当たり前の習慣になっているようです。
健康に投資できる人
情報感度の高い人ほど
糖質と上手に付き合っている。
僕の患者さんにも
糖質制限をしている人は多いです。
なんですが、糖質制限をしているにもかかわらず
1,5-AGがやたら低い人がいるんです。
1,5-AGが低い=食後高血糖
という事でしたよね。
でも、糖質制限をしているんだから
食後に血糖がドカンと上がっているとは考えにくい。
尿に糖が出ているとも思えない。
これ、なんでなの?
って不思議だったんです。
いろいろ考えたんですが
糖質を減らしたら、本来なら肝臓が糖を作って(糖新生といいます)
血糖を保ってくれます。
でも、この糖新生が、うまくできない人がいるんです。
自分で糖質が作れないとエネルギーを油にするしかありません。
ただ、油をエネルギーにするときに、ACATという遺伝子が関わっていて
ここに変異がある人も結構いるんです。
そういう人は、血糖も足りないし、油もエネルギーにできない。
慢性的なエネルギー不足に陥ってしまうんです。
すると、1,5-AGまで動員して
なんとかやりくりしようとしているんじゃないか。
と、僕は見ています。
もちろん、これはあくまで
僕が現場で感じている仮説ですけどね。
でも、糖質制限をしていて
なんだか調子が上がらない、力が出ない
という人の1,5-AGを見ると、低いことが結構あるんです。
でも、一番わかりやすいのは
とはいえ、1,5-AGも、血液検査の数値の一つ。
測るにはやっぱり採血が必要です。
そこで
僕のオススメはフリースタイルリブレ。
これをつけて生活すると、本当に面白い。
同じ自分でも、白いご飯を食べたときと、お蕎麦を食べたとき。
食後に歩いたときと、ゴロゴロしたとき。
寝不足の日と、よく寝た日。
血糖の動きが、まったく違うことに気づけます。
「健康にいい!」と言われている食材が
実は自分にとっては血糖値爆上がりだった
なんてこともよくあります。
結局、何事も
「自分には合っているのか?」
が大切なんですよね。
誰かにとっての正解を探すより
自分の身体で実験してみる。
ぜひ一度、自分の血糖を測ってみてくださ。
健康への意識が、きっと一段上がりますよ。
ってことで、今回はこの辺で。
では、また。


