前回、「昔は平気だったのに最近敏感になった」
という体質の変化についてお話ししました。
今回はその続きで
多くの女性が経験する妊娠・出産をきっかけにした体質の変化
について考えていきます。
「妊娠してからアレルギーが出るようになった」
「産後、なんだか前の身体に戻らない」
こういう声、多いですよね。
これ、気のせいでも甘えでもなくて
身体の中でちゃんとした変化が起きているんです。
妊娠中、身体は赤ちゃんを「異物」として扱っている
まず妊娠中の話から。
意外と知られていないんですが
お腹の赤ちゃんは、お母さんの身体にとって半分は「自分ではないもの」です。
赤ちゃんは父親由来の遺伝子を半分持っているので
お母さんの免疫から見ると
本来なら「異物」として攻撃される対象なんですよね。
でもそれでは妊娠が成立しないので
身体は妊娠中、免疫のバランスを大きく切り替えます。
赤ちゃんを攻撃しないように
ある種の免疫を抑え、別の種類の免疫を強める。
この大きな切り替えが起きることで
今まで反応しなかったものに反応したり
逆にアレルギーが一時的に和らいだりするんです。
「妊娠してから体質が変わった」
というのは、この免疫の大きな再編成が背景にあります。
ちなみに
この免疫の切り替えがうまくいくかどうかには遺伝的な個人差もあって
HLAという免疫に関わる遺伝子の型が関係していると言われています。
つわりの重さや妊娠中の体調の個人差にも、こういった背景があるんですね。
出産で、栄養がごっそり持っていかれる
そして出産です。
ここが本当に大事なところなんですが
出産後の女性の血液データを何人か見てきましたが
「栄養失調の患者さんかな?」
と思うくらい、身体の中の栄養がなくなっています。
それくらい、赤ちゃんを育てるために栄養を持っていかれているんです。
妊娠中、赤ちゃんは自分の身体を作るためにお母さんの栄養をどんどん使います。
お母さんが十分に摂れていなければ
お母さんの身体の蓄えを切り崩してでも赤ちゃんに送られます。
赤ちゃん優先で、お母さんは後回し。
身体はそういう仕組みになっているんですね。
そして出産後も、授乳でさらに栄養は出ていきます。
つまり、ただでさえ空っぽに近い状態から
回復するどころかさらに削られ続ける。
これが産後の身体です。
産後の回復には、想像以上の時間がかかる
ここで問題になるのが、回復にかかる時間です。
これだけ栄養を失った身体が元の状態に戻るには
本来かなりの時間が必要です。
数ヶ月どころか、年単位でかかることも珍しくありません。
それなのに
産後あまり日を空けずに仕事復帰する人も多い。
日本の産後休暇くらいの日数では
正直まったく足りないんです。
身体がまだ立て直せていない状態で
仕事と育児の両方が一気にのしかかる。
ここで無理をして
しっかり栄養を立て直さないまま走り続けてしまうと
その後の不調がずっと続きやすくなります。
「産後から体調が戻らない」
「なんとなくずっと不調」
という方の多くは
この産後の立て直しのタイミングを逃してしまっているんですよね。
ホルモンの激変も追い打ちをかける
さらに産後は、ホルモンが激変します。
妊娠中に高く保たれていた女性ホルモンが
出産を境に一気に急降下します。
この落差がとても大きい。
このホルモンの急降下が
産後のメンタルの不安定さや、気分の落ち込みに関わっています。
しかも、ホルモンを作るには栄養が必要です。
でも産後は栄養が枯渇している。
栄養が足りない→ホルモンがうまく作れない→さらに不調が続く
という悪循環に入りやすいんです。
産後のメンタル不調を「気持ちの問題」だと思って自分を責めてしまう方が多いんですが
背景には栄養とホルモンという、身体の問題が確実にあります。
産後こそ、自分の身体を立て直すチャンス
産後の不調は
「母親なんだから当たり前」
「みんな通る道」
と片付けられがちです。
でも、空っぽになった身体をしっかり立て直すことができれば
その後の体調は大きく変わります。
逆にここを逃すと
何年も不調を引きずることになりかねません。
だからこそ、産後は
可能な限り無理をせず、しっかり栄養を補給して、身体を立て直すことに時間を使ってほしいです。
もし「産後から調子が戻らない」と感じている場合は
一度自分の栄養状態を確認してみる価値があります。
自分の身体を後回しにしてきたお母さんほど
立て直す価値がありますよ。
ってことで、今回はこの辺で。
では、また。
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