食べる時刻も、体内時計を動かしている

心の病気

前回まで
体内時計を動かす「光」の話をしてきました。

朝日を浴びる、夜は暗くする
これが体内時計を整える大きなスイッチでしたね。

でも、体内時計を動かすスイッチは
光だけじゃありません。

今日は、もう一つの強力なスイッチ
食事の時刻についてお話しします。

体内時計は、一つじゃない

まず、意外と知られていない前提からお話しすると
体内時計って、脳に一つあるだけだと思われがちなんですが
実はそうじゃないんです。

司令塔となる大きな時計は
たしかに脳にあります。

でも、それとは別に
肝臓や腸、筋肉といった内臓にも
それぞれ独自の時計があるんです。

例えるなら
家の中のあちこちに時計が置いてあるようなもの。

リビングの時計、キッチンの時計、寝室の時計
といった具合に、身体の中には時計がいくつもあるんですね。

そして面白いのが
この時計たちは、合わせ方がそれぞれ違うということなんです。

光は「脳」、食事は「内臓」を動かす

では、それぞれの時計は
何をたよりに時刻を合わせているのか。

脳の時計は、光に従います。
リビングの大きな時計を、朝日で合わせる
前回まででお話ししてきた話はこれです。

一方、内臓の時計は、食事の時刻に従います。

キッチンの時計は、ごはんの時間で動く
というわけですね。

これを示した面白い実験があります。

動物で、餌をあげる時刻だけを昼夜逆転させたところ
脳の時計は光に従ったまま変わらなかったのに
肝臓の時計だけが、餌の時刻に合わせて動いたんです。

光は脳を動かし、食事は内臓を動かす。

この役割分担が、はっきり見えた実験でした。

「体内の時差ボケ」が起きる

ここで、ちょっと困ったことが起きます。

もし、光を浴びる時刻はいつも通りなのに
食事の時刻だけがバラバラだったら
どうなると思いますか?

脳の時計と、内臓の時計が
バラバラの時刻を指してしまうんです。

リビングの時計は朝7時なのに
キッチンの時計は昼の12時を指している。

同じ家の中なのに、時刻がずれている状態です。

つまり
海外に行ってない、飛行機に乗っていないのに
身体の中で「時差ボケ」が起きる。

実際、これには
「イーティング・ジェットラグ(食事の時差ボケ)」
という名前までついています。

平日と休日で食事の時刻が大きくずれる人ほど
体型に影響が出やすい
という報告もあるんです。

「休日のブランチ」が、実はくせもの

わかりやすい例が、休日のブランチです。

平日は7時に朝ごはんを食べているのに
休日は昼過ぎまで寝て、朝と昼を兼ねたブランチ。

一見、優雅でいい休日の過ごし方に見えます。

でも内臓の時計から見ると
これは「いつもと5時間もずれた合図」です。

この繰り返しが
内臓の時計を混乱させて
じわじわと身体に影響していきます。

夏休みの子どもも、まさにこれ。

夜更かしして昼まで寝て
起きたら最初の食事が昼過ぎ。

光のリズムだけでなく
食事のリズムまでずれてしまっているんですね。

朝ごはんは「内臓の目覚まし時計」

じゃあ、どうすればいいのかというと
答えはシンプルで
食事の時刻を毎日そろえることです。

特に、朝ごはんの時刻が重要で
朝ごはんは、内臓にとっての「目覚まし時計」のようなものなんです。

毎朝だいたい同じ時刻に食べることで
内臓の時計に「一日が始まったよ」という合図が届きます。

前回まででお話しした「朝日を浴びる」と
この「朝ごはんを食べる」をセットにすると

脳の時計と内臓の時計
両方に朝の合図が届く。

二本のロープで
二つの時計を同じ方向に引っ張るイメージです。

夏休みで生活が乱れている子も
まず「朝、決まった時間に光を浴びて、朝ごはんを食べる」。

これだけで、リズムを立て直す大きな一歩になります。

「何を」の前に「いつ」

このブログでは、栄養の話や遺伝子の話が多いですが
栄養や遺伝子って、主役じゃないんです。

もちろん何を食べるかも大事ですし
どんな身体なのかを知る事は大切。

でも、その前に
同じ食事でも、いつ食べるかで身体にとっての意味が変わります。

「まず食事の内容を完璧にしなきゃ」
と気負う前に
「毎日だいたい同じ時刻に食べる」。

実はこっちの方が、取り組みやすくて
効果も大きかったりします。

特に朝ごはんの時刻。

平日も休日も
最初の一口の時刻を大きく動かさない。

これだけで
内臓の時計たちは、ずいぶん揃った時刻を指しはじめます。

さて、ここまでは大人にも子どもにも共通する
体内時計の仕組みの話をしてきました。

でも実は、子どもの体内時計は、大人とはちょっと違うんです。

もっと乱れやすくて
もっと光に敏感で
そして睡眠が「成長」にも関わっている。

次回は、その「子どもならではの体内時計」について
詳しくお話ししていきますね。

ってことで、今回はこの辺で。
では、また。


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