夜の明るさは健康に関わる?|昼と夜の光をめぐる大きな研究

心の病気

ここまで3回にわたって
子どもの生活リズムと睡眠の話をしてきました。

体内時計、メラトニン、オレキシン。

いずれも共通していたのは
「夜の眠りは昼の使い方で決まる」ということでしたね。

今日は少し視野を広げます。

実はこの「昼と夜の光の浴び方」
子どもの睡眠だけの話じゃなくて

健康そのもの
それどころか寿命にまで関わっているかもしれない
という研究が出てきているんです。

今日はその話をご紹介しますね。

約9万人の光を測った研究

2024年に、オーストラリアの研究チームが
光と健康の関係を調べた大きな研究を発表しました。

対象は、イギリスの大規模なデータベースに参加した約8万9千人。
平均年齢は62歳ほどです。

参加者は手首に光センサーを着けて
1週間、普段どおりの生活を送りました。

集まったデータは、なんと1,300万時間分。

それをもとに
「昼にどれくらいの光を浴びているか」
「夜にどれくらいの光を浴びているか」
を分析したんです。

そして、その後およそ8年間、参加者を追跡しました。

見えてきた関連

結果には
はっきりした傾向が見られました。

まず、夜に強い光を浴びていた人ほど
死亡リスクが高い傾向がありました。

夜の光がもっとも明るかったグループは
そうでない人たちと比べて
全体の死亡リスクが2〜3割ほど高いと推定されたんです。

特に、深夜2時半から3時ごろに明るい環境にいた人たちで
この傾向が強く出ていました。

逆に、昼に明るい光をしっかり浴びていた人ほど
死亡リスクが低い傾向がありました。

しかも、昼の光が明るいほど
段階的にリスクが下がっていく関係も見られたそうです。

つまり
夜は暗く、昼は明るく。

この当たり前のようなリズムが
健康と関わっている可能性がある、ということですね。

昔から言われてきたこと

こういうのって
実は昔から言われてきた当たり前のことでもあります。

子どもの頃
「早く寝なさい!」
と怒られた記憶がある場合もあるかもしれません。

「早寝早起きは健康のもと」
「寝る子は育つ」

なんて言葉も
昔からありますよね。

こういう昔ながらの知恵が
大規模な研究であらためて裏づけられた
とも言えます。

そして面白いのが
この研究が示している方向性は
これまでお話ししてきた体内時計の仕組みと
きれいに一致しているんです。

夜の光は、体内時計を後ろにずらす方向に働く。
昼の光は、体内時計を整える方向に働く。

メラトニンの回でお話しした
「朝日でスイッチが入る」も

オレキシンの回でお話しした
「昼はしっかり覚醒、夜は鎮める」も

全部この方向を向いています。

昔からの知恵
身体の仕組み
そして大きな研究。

この3つが同じことを言っているなら
意識してみる価値はあると思うんです。

誰でもできる

この研究の面白いところは
実践に落とすと
ほとんどお金がかからないという点です。

約9万人を8年間も追いかけた大規模な研究から得られる
いちばん実用的な結論。

それが
夜は、今までより少し寝室を暗くする。
昼は、今までより少し外に出る。

たったこれだけなんです。

サプリを買う必要も
特別な機械を揃える必要もありません。

カーテンを閉める
電気を少し落とす
昼に散歩する。

それだけで
身体のリズムは整う方向に向かっていきます。

僕がいつもお伝えしている健康法は
だいたいこういう
「シンプルでお金のかからないもの」
なんですが

今回の研究も
まさにそこに行き着くのが面白いところですね。

次回は、もう少し踏み込みます。

「自分の体内時計が、今どこにあるのか」
を知る方法です。

実は、特別な検査をしなくても
自分の身体の時計がどこを指しているか
大まかに知る手がかりがあるんですよ。

ってことで、今回はこの辺で。
では、また。


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